これまでのスピーカー技術を踏襲しながら
これまでになかった発音メカニズム ―――
これまでの多くのスピーカーはその理想形として、「 無限に小さい呼吸する球 」やその結果である「 球面波 」を得る挑戦と言えます。
その挑戦の原動力として、振動系の非分割振動や直線的な振動系運動がありますが、その資産である完成されたスピーカーユニットを切断・特異な加工を施すことで、敢えて非直線運動、非球面波を引き出し、「 生楽器のような豊かな音のエネルギー 」を得ることに成功しました。
これは Half One の正面(45度)の周波数特性です。
低音から高音まで滑らかに豊かに響き、それを要求されるあらゆる用途に使うことができます。
それは既存の録音物再生だけではなく、楽器などの発音にも比類の無い能力を発揮します。
Half One は旧来のスピーカーユニットを原材料としながら、独自の発音メカニズムに作り変えることで非直線・非球面波を実現しています。旧来のスピーカーが球面波を得るために必要とするエンクロージャ( キャビネット) も存在しなければ、ホーンも必要としません。低音から高音まで、滞りなくさんさんと降り注ぐようにリスニングルームを豊かな音で満たします。
低音は、残された半分のコーン紙からその一部が放射されます。中音から高音の大部分はコーン紙を経由せず、ボイスコイルから直接放射されますが、これはコンデンサースピーカーやリボンスピーカーと同等のレスポンスを示します。
このスピーカーでは、この2つの異なる発音メカニズムが滑らかに連続していることが大きな特徴です。
旧来のどのスピーカーとも異なる、Half One のみが持つ特質です。
低音は上下方向に、中高音は正面水平より40度方向を中心として見た目からは想像もできない
ワイドレンジで鳴り響きます。
●高音域 ●低音域
■Half One
■旧来のスピーカー
私たちは新しい動作メカニズムのスピーカーを考案し、Half Oneと命名しました。現在の Half One はそのメカニズムを象徴するかのような意表をついたデザインとなっていますが、そこから放射されるサウンドは、これまでの、どのスピーカーとも異なる豊かなものです。
このスピーカーの仕組みは、まだ開発途上でもあり、そのサウンドがどのような分野にアピールできるのか、私たち自身まだ模索している段階です。
この市販モデル1号機はその未知なる可能性を切り開く製品です。
Half One の特徴は、ひとつのコーン紙(あるいはダイアフラム)から空間に音を放射するというこだわりを捨て去ったところにあります。
電気信号を「動き」に変換する部分はボイスコイルと呼ばれる部分で、すべての動電型スピーカーの振動の源泉はここにあります。ところが、このボイスコイルの振動は、ボビン、ダイアフラムを経て、間接的に空間に放射され、このことが音信号の遅れや音色の変化の原因であることに多くの人が気付きながら、何も手を打てずに現在に至ります。Half Oneはその聖域であるボイスコイルが空間に露出しており、とくに遅れが問題となる高音域では、ここから音が直接放射されるように工夫されています。
多くの高音用スピーカーでは「平坦な周波数特性を得ること」「効率を高めること」を目的に、空洞共鳴などのアコースティックなイコライゼーションを利用していますが、Half Oneの高域は8KHz 以上では、電気的・機械的な一切の補正が不要です。
本来スピーカ-はキャビネットを使用することで、コーン紙の振幅を抑えながら効率的に発音することを可能にしています。
ひとつの振動板で低域から高域まで発音した場合、振幅が小さければ問題は無いのですが、低音は多くの場合大振幅となります。その大きく振幅している振動板からは同時に高音も出ているので、その振幅の影響で少なからずドップラー現象によるFM変調が発生します。
Half Oneでは原理的にドップラー歪がほとんど発生しないので、ひとつのボイスコイルでありながら、低音域での振幅は高音域に影響を与えず、そのためにキャビネットを用いて効率化する必要がありません。
また、旧来のスピーカーと同じように、キャビネットを用いて、さらに輻射効率を向上させることもできるのですが、この1号機ではメカニズムの象徴性から、キャビネットも排除しました。
Half Oneが新鮮な音を再生できるのは、発音の根源であるボイスコイルが完全に露出しているから、つまりリボン型やコンデンサ型などを除く全てのスピーカーでは磁気回路の中に収まり、決して外に露出しなかったボイスコイルを解放したからにほかなりません。
また、Half Oneのトランジェントが非常に優れていることの理由のひとつは、中高音での動作がリボン型やコンデンサ型のそれに近似していることによります。
本来なら つぼ型の中に収まっているボイスコイルですが、磁気回路から開放することにより、旧来の巻き線構造でも同様の特質を得ることが出来るのです。
Half Oneはエンクロージャを持たないため、同じ振動面積のスピーカーと比べ、f0( 最低共振周波数 )以下では急速にエネルギーを失いますが、エンクロージャが存在することによる特有の制動の影響を受けないために、楽器が持つのと同等のトランジェントが得られます。
Half One の再生方法
Half Oneは多くの優れた特徴を持ちますが、その優れた特徴を発揮するにはいくつか旧来のスピーカーと異なる点について注意が必要です。
Half One はパワーアンプの出力に直接接続して作動させます。
完全なフルレンジスピーカーなので、LCRによるフィルターは使用されることはありません。
Half One の優れた周波数レンジを引き出すために、補正のための専用のイコライゼーションを必要とします。
もちろんイコライゼーション無しでHalf Oneのネイティブサウンドを楽しむことも可能です。
いずれの場合もパワーアンプと直接接続することで、トランジェントだけでなく、高い制動性を得ることができ、位相特性も良好に保つことができます。
私たちは将来、Half One 専用のイコライゼーションのためのDSPユニットを開発する予定です。
現在Half One は専用イコライゼーション処理のためにPersonal Computerを使用します。
使用できるソフトウェアはFFTフィルターを装備したソフトを推奨します。この専用イコライゼーション処理のためのソフトウェアとしてAudacityまたはWaveGeneを推奨します。再生はこれらのソフトのみならず、お気に入りのものが使用することがでます。
使用する補正カーブ(イコライゼーション)は、Half One一つ一つについて無響室で作成したものがHalf One製品に付属します(標準ではAudacity形式のデータとして提供されます)。
このイコライゼーションによって処理した音データは、ごく普通のオーディオ信号としてCD-Rに焼いたり、MP3に変換することも可能です。その場合はCDプレーヤーやMP3プレーヤーを再生機器として使用することができるので、お手持ちの機器の接続などの変更が不要となります。
イコライゼーションはより高いオーバーサンプリングで処理することが望ましいです。弊社に音データを送付されると、より高度なイコライザー処理を行い返送するサービスを用意しております。
Half Oneをご購入いただくと1時間分のイコライザー処理サービスを無料でご利用いただけます。
尚、1時間を越える処理に関しては有償にて承ります。
推奨するパワーアンプ出力
一般家庭での使用であるなら、パワーアンプに必要な出力は10Wから100W程度が好適です。
ボイスコイルそのものは連続で200Wの電力に耐えられますが、Half Oneは低域の振幅が通常のオーディオスピーカーよりも大振幅になるため、「ボトミング」と呼ばれる過大振幅が生じやすく、これには注意が必要です。
設置時の注意
・直射日光があたらない場所
・磁性体粉末(砂鉄など)が少ない環境
(このため、床や地面への直接設置は避けてください)
・高湿度、高温度、極端な低温環境を避ける
・子供の手に触れない場所
(ボイスコイル、磁気回路が露出していることがHalf Oneの特徴ですが、手や異物が振動している部分に接触すると故障の原因になります。)
付属品はありますか?
無響室で測定したHalf One の特性から導き出したフィルターデータが付属します。
このフィルターデータから導き出したイコライジングを、あなたの音源に付加することで、
より平坦な特性のオーディオをお楽しみ頂けます。
ご希望であれば、1時間分のあなたの音楽ライブラリーを、事前にイコライジング処理いたします。
また、我々はリアルタイムでイコライゼーションが可能なハードの共同開発者を探しています。
アフターサポートはありますか?
我々は可能な限りアフターサービスを行う準備が整っています。
Half One は磁気回路が露出しているため、鉄粉等のゴミが内部に混入するおそれがあります。
こうしたゴミの混入におけるトラブルに関して、1ユニットにつき1回までは、無償で修理を受け付けます。
リコーンが必要な場合は有償修理となりますが、我々は可能な限り、あなたのユニットが最善の状態を維持できるようサポートいたします。
私の希望するユニットをカットして同様のものを作ることが可能ですか?
原則としてリコーンキットが存在するユニットであれば、Half One と同じようにカットできますが、必ずしも同じような特性を保証できるわけではありません。
一度、相談してください。
Half One
本体価格 | ¥ 277,500 / シングル |
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付属品 | ・製品個体のレスポンス特性グラフ |
有償オプション | ・コーン紙の交換(特性の再測定と調整含む) |